高断熱高気密住宅における暖房器具について語る

管理人の家人は、暑がりで寒がりな者が揃っています。

トシ

私は単なる寒がりです

高断熱高気密住宅と呼ばれる高機能住宅を建て、10年住んでみて暖房器具についてベストマッチを考えてみました。

実際今は夏なのですが、暑苦しくご紹介します。

目次

高断熱高気密住宅とは?

家を建てる勉強をされている方なら、当然ご存知な用語かと思います。

高断熱高気密住宅
  • 高断熱住宅
    • 屋根・壁・窓・壁・床などを高性能な断熱材や断熱窓で覆った断熱性の高い住宅
    • 2025年には、今までの最高レベルであった「断熱等級4」義務化される
    • 2022年に定められた断熱等級5・6・7等級が、これからの高断熱と言える
  • 高気密住宅
    • 窓や壁の隙間など施工上どうしてもできてしまう隙間をできる限り少なくした住宅
    • 気密テープでふさぐ工法や、建材自体で気密をキープできる工法がある
    • m2あたりの隙間をC値と呼び、0.5cm2以下が高気密の目安
    • 計画換気にも影響するので、できる限り(0.1以下)低い数値としたい
気密性を確保する「さね」

暖房の熱の伝え方

1.熱の伝わり方

暖房を分類する前に、熱の伝わり方について考えてみます。

①:伝導

湯たんぽや水枕など、直接触れることで高い温度から低い温度の方に熱が移動する。

②:輻射

たき火やストーブなど熱を持つものから出る赤外線で、離れた位置でも熱が移動する。

③:対流

エアコンやファンヒーターなど熱を持つ空気を出し、低い温度の場所との温度差で移動させることで熱が移動する。

昔からある暖房器具は、輻射メインが多いです。
例)暖炉、火鉢、いろり、石油ストーブ

2.暖房の熱の伝え方

この熱が伝わる方法を、暖房はいくつも持っており、強い輻射を持っている器具なら、対流も持っています。
例)薪ストーブ(本体が熱くなるタイプ)

薪ストーブなら、目の前に座っていても熱が輻射で伝わって来るし、離れた部屋でも対流で暖気が届けられるといった風です。

焚き火も温められた空気が上空に動くもんね!

高断熱高気密住宅における最適暖房は?

1.高高住宅で押さえるべきポイント

①:空気を汚す暖房は基本的に使えない

高気密住宅では、室内に汚れた空気と、水蒸気を出す暖房器具は基本的に使えません。

石油ストーブ、FF式でないストーブ・ファンヒーター

②:エアコンは24時間連続運転が前提

エアコンは手軽な対流型の暖房ですが、空気という最も熱を運ぶのに適しないものを使っている為、少しの時間だけ使っても意味がありません。

大風量で長時間使い続けることで、意味が出てきます。

③:高高住宅は熱が逃げにくい

窓や壁から外に熱が逃げることを断熱材や窓が防いでいる為、少ない熱量で家を暖かく保つことが出来ます。

本来であればかなり大げさな設備となる可能性のある、蓄熱式の暖房器の容量を小さくすることやエアコンでの全館暖房も可能です。

④:オール電化であれば、深夜電力を考慮すべし

いつまであるものかは分かりませんが、現在夜間の電力料金は非常に安いです。

その為23時から翌7時までに蓄熱するタイプの暖房には、有利となっています。

電化上手もたび重なる値上げに襲われていますが、いまだ最安値プランであるようです(2023年7月現在)

⑤:やっぱり大事なコスト

コストはイニシャルとランニング、両方を見る必要があります。

毎月のコストは少なくても、導入時に1,000万円余計に掛かっているのでは意味がないからです。

2.候補たち

色々な観点を考慮した、独断と偏見に満ちた採点を始めたいと思います!

(5段階評価、最高5)

①:全館空調(ダクト式セントラル)

まめイエEYE

総合評価
タイプ対流メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴半畳のスペースに機械を置き、ダクトで各室に届けるセントラル方式
メリット吹き出し口が目立たず、換気設備と集約されており日々のメンテは楽
デメリット間取りで半畳使う、ダクト式なので将来的な清掃やメンテに不安
総評高級大手HM御用達、大きな家向き、冷房も使える

全館を温度管理できるのは嬉しいのですが、各部屋ごとの温度設定が苦手な機種が多いです。

またイニシャルもランニングコストも高い高級暖房と言えます。

施工に慣れた会社でないと、吹き出し口の位置等の間違いで快適性が大きく損なわれる可能性があり、エアコン同様床面の底冷えが弱点です。

お友達は足元が寒いって言ってたね

②:床暖房

まめイエEYE

総合評価
タイプ輻射メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴床下に温水や電気を通し下から温める伝統的な暖房
メリット暖房器具自体は床下に収まるため、見栄えが良い
デメリット電気だと恐ろしいランニングとなり、また配管の更新が難しい
総評どこまでの範囲に入れられるかが肝の暖房

部屋の床面積の70%以上で快適となるそうなので、イニシャルコストが高額になります。

ただ暖房は下からというのがセオリー通りですし、床からの輻射熱で底冷えしない快適な温熱環境です。

○条工務店さんの様に全館床暖房となると良いのですが、限られた部屋のみの床暖房となるケースが多く、エアコンとの併用だと更にコストが増えます。

熱源は温水&ヒートポンプにしないと、ランニングコストが増え利用しない機器第1位になる可能性あり。

また、配管のメンテナンスが実質不可能であり、生じた場合コストが掛かります。

トシ

無垢床と相性が悪い為、無垢床スキーはご注意を(挽板等となる)

③:パネルヒーター

まめイエEYE

総合評価
タイプ輻射メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴見た目がスキー場エリアの宿のような暖房器具
メリット輻射メインな上に窓からのコールドドラフトを消せるので抜群の温熱環境
デメリットイニシャルコストが高額で、配管の更新が床下のため難しい
総評見た目が気に入れば各部屋の調節も可能で最高の暖房

北国以外ではマニアックな設備で、何より見た目で賛否両論あります。

温熱環境は素晴らしいですが、立ち上がりが遅い為点けたり消したりする暖房ではありません。

パネルは露出しているのでメンテナンス可能ですが、配管は床下等に入る為メンテナンスは難しいです。

④:蓄熱式暖房

まめイエEYE

総合評価
タイプ輻射メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴深夜時間帯に耐熱煉瓦等に蓄熱し昼間にそれを放熱することで暖房
メリット蓄熱がリーズナブルにできればランニングに優れる
デメリット暖房本体の場所をとる、煉瓦が重いので設置位置も難しい
総評性能の高い高高住宅に入れればバランスの良い暖房

高高住宅ではその大きさを小さく出来ますが、設置場所が問題。

ファンで対流を起こすタイプもありますが、基本的に細かな温度設定には向きません。

⑤:躯体(スラブ等)蓄熱式暖房

まめイエEYE

総合評価
タイプ輻射&対流
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴基礎や2階床に蓄熱層(モルタル)を温める方式の暖房
メリット床暖房の蓄熱性が高いバージョン
デメリット後からの設備更新不可
総評膨大な熱量を蓄熱出来るモルタル等を利用し、少ない運転時間でも暖かい

全館を床暖房することが出来ますので、輻射に包まれた優れた温熱環境となります。

一方細やかな設定には向かず、大空間を一定に保つのに向いた暖房です。

⑥:FF式ストーブ・ファンヒーター

まめイエEYE

総合評価
タイプ対流メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴室内の空気を汚さない為、燃焼後の物質を外に直接排気するストーブ等
メリット各部屋に置くこともでき、複数台で優れた温熱環境を実現可能(大型+小型数台)
デメリット輻射暖房は難しい
総評立ち上がりが早いことと、外気温に左右されづらい安定な暖房

床暖と融合したタイプもあり、エアコンより寒冷地に向いています。

ガスや灯油で使用しますので、灯油の場合は給油が面倒です。

⑦:エアコン

まめイエEYE

総合評価
タイプ対流メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴ヒートポンプの高効率によりイニシャル、ランニングに優れた暖房
メリットコストが安い、壊れてもすぐ交換可能
デメリット輻射暖房は難しい、乾燥が厳しい
総評立ち上がりが早いが、大空間を温めるのは厳しいので連続運転が必要
エアコン数台を設置して、24時間運転をした前提

イニシャルコストに優れ、設置工事費を入れても他の方式より安い。

高高住宅であれば、床下設置での蓄熱暖房に利用するのも面白い。

⑧:薪ストーブ

まめイエEYE

総合評価
タイプ対流メイン
温熱環境
イニシャルコスト
ランニングコスト
メンテナンス
特徴佇まいだけで癒やされる至高のプライスレス暖房
メリット視覚的に温まる唯一の暖房器具
デメリットコスト、メンテナンス、燃料補給にハードル
総評暖房器具というより、家をなんのために建てるかという問いへの答え

メリットもデメリットも存在感、メンテナンスだが、好きな人にはたまらない
嫌な人は耐えられないという、人を選ぶ暖房。

圧倒的な輻射熱を持ち、多少のオーバーヒートはなんのその。

暖気は家中を巡るので開放的な間取りが望ましいが、個室の室温調整でドアの開閉が必要。

3.高高住宅に最適な暖房はコレだ!

色々考えてみましたが、エリア特性もあり最適解というのは難しいと思いました。

高高住宅の暖房の最適解
  • 優れた外皮性能による少ない熱損失を活かす
  • 低コストで持続性のある熱を輻射で伝える
  • 蓄熱式で基礎や躯体を温め、輻射メインの暖房が温熱環境からも望ましい
  • できる限りイニシャル・ランニングコストの安いもの

管理人的には採用した「パネルヒーター」と言いたいところですが、独断と偏見に満ちた選択はコチラです。

躯体(スラブ等)蓄熱式暖房

半永久的に更新が不要な形式で躯体に埋め込めれば、最高の暖房になると思います。

ただ木造でやり切るのは難しいかもしれません。

床下蓄熱式エアコン暖房&補助暖房

これもあわせ技でズルっぽいですが、安いエアコンで床下を蓄熱する方式はメリットが大きいと思います。

どこまでエアコンで基礎を温められるか、試してみたいです。

まとめ

今回は、高断熱高気密住宅における暖房器具を考えてみました。

トシ

我が家のパネルヒーターも素晴らしい暖房器具です

また暖房器具だけでなく、蓄熱性の高い無垢床や土壁によって温熱環境がより良くなっていることも見逃せません。

またエアコンばかり悪く言う業者さんも多いですが、エアコンはイニシャル・ランニングコストともに優れた暖房器具です。

加湿をしながら使えば、ベストチョイスになる可能性も高いので予算に応じて暖房方式を選びましょう!

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